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浅田次郎の「椿山課長の七日間」を読みました。

浅田次郎・椿山課長の七日間

浅田次郎の「椿山課長の七日間」は、『朝日新聞』の連載小説として2001年7月から2002年4月にかけて連載された作品なのですが、当時、ワタクシは海外駐在中で、時々、朝日新聞を手にした時に読んでいました。

毎日、日本の新聞を読める環境ではなかったので、連載小説を飛び飛びで読んでいたのですが、それでも面白く、帰国したら本を買って一気に読みたいな、と思っていた作品でした。

浅田次郎「椿山課長の七日間」のあらすじ
46歳で脳溢血のため過労死した百貨店の課長・椿山和昭は、現世に強い未練を残していた。あの世の中陰役所でそれを訴え、現世への「逆送」を願い出た椿山は、同じように逆送を希望した72人の中から、実の両親を探し出すことを希望していた少年の雄一(蓮)と、人違いで殺されたために子分が抗争を起こそうとしているのを防ぎたいと希望したヤクザの親分の武田と共に選ばれ、正体を明かさないことを条件に初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で現世に逆送される。
だが、事前に「まだ知らない重大な事実がある」と伝えられていた椿山を待っていたのは、想像以上の過酷な現実であった。老人ボケになってしまったと思っていた父が実は矍鑠とし、パソコンを使い孫とeメールの交換すらしていた事実だけでも十分ショックだったところに、知人のふりをして自分に線香をあげに行った自宅で、妻の由紀が葬儀が終わったばかりにもかかわらず、生前から愛人関係にあった部下の嶋田を家に招きいれ、夫婦同然の生活を送っており、息子の陽介も母の不倫に傷ついていた事実を知り打ちのめされる。
一方で、椿山が事態の把握のため自宅に職場にと奔走している間に、蓮と武田も自らの目的を果たすため、それぞれ行動する。

大変にあり得ない設定であり、その辺はコメディー的な作品を連想するかもしれませんが、ですがその内容は、大変に深い人間模様を描いた作品です。

かつて向田邦子女史が、山田太一氏の「岸辺のアルバム」を読んだ時、その素晴らしさに山田太一氏を羨んだという逸話を聞いたことが有りますが、もし、向田邦子女史、或いは山田太一氏が「椿山課長の七日間」を読んだなら、人間模様を描写するのにこんな手法が有ったのか!と唸ったのでは、と思うほどでした。

「椿山課長の七日間」の主人公は、タイトルにもある椿山課長なのですが、同じ様に、死後の世界から戻ってくる少年の蓮とヤクザの武田の人間模様も主人公さながらです。

というよりも、三人分の人間模様が描かれているので、作品は非常に密度の濃いモノとなっています。

タイトルの通り、3人の「7日間」、初七日迄を描いている訳ですしね。

また、現世にいる登場人物、特に、佐伯女子とおじいちゃん(椿山課長のお父さん)の人間性、その愛する人、家族を慮る心には、皆が惹かれるのではないでしょうか?

ワタクシ、作品を読んでいて、二度ほど涙がこぼれました。。。

一つは少年の蓮が生みの親へお礼の言葉を述べた時、そしてもう一つは佐伯女史の献杯。

特に、佐伯女史の献杯は・・・グッときました。

帰国したら読みたいと思っていながら、大分経って手にした本でしたが、本当に一気に読み終えました。

浅田次郎の「椿山課長の七日間」、肩ひじ張らずに楽しめる本であり、そして、心に沁み入る作品でした。


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To be continued